ドライアイと眼精疲労に関するサプリメントの研究報告

ドライアイと眼精疲労に関するサプリメントの研究報告 ビルべりー由来アントシアニン57mg DHA(ドコサヘキサエン酸)350mg EPA(エイコサペンタエン酸)650mg

スマホやパソコンを集中して見る機会が眼科的にもたらす2つの現象

ドライアイと眼精疲労に関するサプリメントの研究報告

スマートフォンやパソコンスクリーンを集中して見る機会が世代を超えて急増し(*1)、この傾向は眼科的に以下の2つの現象をもたらします。

①ピントを合わせる筋肉(毛様体筋)の緊張を持続させ、調節機能の低下により眼精疲労を引き起こす。

②瞬きの回数が極端に減り、角膜からの涙液の蒸発が亢進しドライアイを引き起こす。

この様に、現代社会においてドライアイと眼精疲労は強い繋がりがあり、身体的・精神的影響により生活の質を損なう原因の一つになっています*2,3

ドライアイと眼精疲労に対する対応はこれまで点眼のみでしたが、その効果は決して十分とは言えませんでした。

サプリメントがドライアイや眼精疲労に対応できる可能性について

最近になり特定のサプリメントを十分量摂取することにより、ドライアイや眼精疲労に対応できる可能性が多数報告されるようになりましたので紹介いたします。

いずれの報告も欧米ジャーナルを中心に信頼性の高い論文からのものです。更に詳しい情報を知りたい方の為に参考文献も掲載してあります。

ドライアイのメカニズムからサプリメントの必要性を考える

涙は①ムチン層、②水層、③油層の3層に分かれています。

①ムチン層:角膜に一番近い層で、角膜の上に涙を乗り易くする働きがあります。

ムチン層に問題があれば、瞬きによって角膜の上に乗った涙がすぐにはじけてしまいます*4,5

②水層:涙腺から分泌される水と塩分です。*6

③油層:涙の一番外側にあるのが油層です。まぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌され、涙の蒸発を防ぐ働きがあります。*7,8

典型的なドライアイの原因

典型的なドライアイの原因は①~③のどのメカニズムに問題があっても起こりえます。*9

①のムチン層に問題がある場合に勧められるのが、ムチン産生促進剤のレパミピド(商品名:ムコスタ)とジクアホソルナトリウム(商品名:ジクアス)です。

②涙腺からの涙液分泌を促進する点眼は残念ながらありません。

十分量のアントシアニン摂取により涙液分泌が促進

しかし最近の研究で十分量のアントシアニン摂取により涙液分泌が促進される事が分かってきました。*10,11

いままで点眼によって人工涙液を頻回に補うしかなかったのですが、これには点眼の煩わしさや副作用などがありました。自分自身の涙液分泌を促進するアントシアニン摂取は画期的な研究報告と言えます。

十分量というのは一日あたり57mgのアントシアニン摂取が目安となります。

③油層の機能を改善し、涙の蒸発を防ぐ点眼も残念ながらありません。しかしこちらも 十分量のオメガ脂肪酸(EPAとDHA)の摂取が有効な事が分かってきました。

十分量のオメガ脂肪酸EPAとDHAの摂取によりマイボーム腺分泌促進(*12)、涙液分泌をコントロールしている三叉神経の活性化を促す事が報告されています(*13)こちらの目安は一日当たりEPA650mgDHA350mgです。

即ちこれらの研究結果は、ムチン産生促進点眼液+アントシアニン(57mg/日)EPA(650mg/日)DHA(350mg/日)の組み合わせは涙液層全体を安定化し、ドライアイ症候群の様々な症状を改善する可能性を示しています。

サプリメントの必要性を考える

調節性眼精疲労改善効果の報告からサプリメントの必要性を考える

最近報告されたアントシアニンの調節性眼精疲労改善効果の報告はとても具体的です。

長時間のパソコン作業後にアントシアニンを摂取したその結果

研究報告 長時間のパソコン作業後にアントシアニンを摂取したその結果結果

長時間のパソコン作業後にアントシアニンを摂取したその結果は下記の通りです。

アントシアニンを摂取した方は摂取しなかった方と比べて調節機能が有意に改善した。*14
アントシアニンを摂取した方は摂取しなかった方と比べて自覚的眼精疲労も有意差に改善した。*14
アントシアニン57mg(一日当たり)の摂取で①②の結果が示された。*15

この様に十分量のアントシアニン摂取はドライアイと眼精疲労双方を改善する可能性が高い研究報告がされています。

まとめ

現代社会においてドライアイと眼精疲労は強い繋がりがあり、ドライアイと眼精疲労の個々ではなく同時に対応する事がとても理にかなっていると言えます。

アントシアニン(57mg/日)+EPA(650mg/日)+DHA(350mg/日)のサプリメント構成はドライアイと眼精疲労への対応として理想的な構成と言えます。

勅使河原先生イメージ画像

参考文献

  • 1. 総務省情報通信政策研究所, 平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書
  • 2. Tounaka K, Yuki K, Kouyama K, et al. Dry eye disease is associated with deterioration of mental health in male Japanese university staff. Tohoku J Exp Med. 2014;233(3):21520.
  • 3. Le Q, Zhou X, Ge L, Wu L, Hong J, Xu J. Impact of dry eye syndrome on visionrelated
    quality of life in a non clinicbased general population. BMC Ophthalmol. 2012 Jul 16;12:22.
  • 4. Gayton JL. Etiology, prevalence, and treatment of dry eye disease. Clin Ophthalmol. 2009;3:40512.
  • 5. Schnetler R, Gillan WDH, Koorsen G. Lipid composition of human meibum: a review. S AfrOptom. 2013;72(2): 8693
  • 6. Walcott B. The lacrimal gland and its veil of tears. News Physiol Sci. 1998 Apr;13:97103.
  • 7. BenitezDelCastilloJM. How to promote and preserve eyelid health. Clin Ophthalmol.
    2012;6:168998.
  • 8. Knop E, Knop N, Schirra F. Meibomian glands. Part II: physiology, characteristics, distribution and function of meibomian oil. Ophthalmologe. 2009 Oct;106(10):88492.
  • 9. Horwath-Winter J, Schmut O, Haller Schober EM, Gruber A, Rieger G. Iodide iontophoresis as a treatment for dry eye syndrome. Br J Ophthalmol. 2005 Jan;89(1):40-4.
  • 10. Nakamura S, Tanaka J, Imada T, Shimoda H, Tsubota K. Delphinidin 3,5Odiglucoside, a constituent of the maqui berry (Aristotelia chilensis) anthocyanin, restores tear secretion in a rat dry eye model. J Funct Foods. 2014 Sep;10:34654.
  • 11. Riva A et al., “The effect of a natural, standardized bilberry extract (Mirtoselect) in dry eye: a randomized, double blinded, placebo-controlled trial.” European Review for Medical and Pharmacological Sciences, vol. 21, no. 10 (2017) 2518-2525
  • 12. Liu A, Ji J. Omega3 essential fatty acids therapy for dry eye syndrome: a metaanalysis of randomized controlled studies. Med Sci Monit. 2014;20:15839.
  • 13. Chinnery HR, Naranjo Golborne C, Downie LE. Modulation of tear osmolarity and corneal nerve parameters in dry eye disease with omega-3 fatty acidsOphthalmic Physiol Opt. 2017 Jul;37(4):473-481. doi: 10.1111/opo.12365. Epub 2017 Mar 12
  • 14. 小斎平麻里衣ほか,薬理と治療 2015;43(12): 1741-1749
  • 15. 堀江幸弘ほか, あたらしい眼科 2016; 33(12): 1795-1800

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